Posted by : Unknown 2014年12月23日火曜日




今、治験翻訳といえばこの人だと第一に名前が挙がると思われる有馬貫志先生。初めてこの評判の先生の講義を受けることができてとても幸せでした。

先生のスクールでは約1000名の生徒が巣立っているそうです。セミナーではその人気のもとは、先生の知識とお人柄からくるのだろうと実感できました。

イギリスで言語学を研究なさって得た知識を存分にわかりやすく教えていただけました。例えば、翻訳するに当たって一番の壁となるものは「第一言語の壁」だというSecond Language Deficit 理論。第二言語(私の場合は英語)の能力は、決して第一言語(私の場合は日本語)の能力を超えることができないということを知りました。確かに日々、翻訳には英語力だけではなく日本語力は大事だと思っていましたけれど、同時に私は和訳よりも英訳の方が好きでしたので、英訳の仕事を好んで受注してきました。でも、検定試験やトライアルの結果は実は和訳のほうがよいのです。個人の好みというものはあるけれど、英語を書くより日本語を書く能力の方が上だということですね。

例えば日本語で100書ける能力があるとすると、英語で書けるのは80だそうです。和訳で100の能力があったとしても、英訳では80の能力しか発揮できないということになります。もちろん和訳では英語をどれだけ読み込めたかという別の問題はありますが、アウトプットだけで評価すると理論的には日本人は和訳の方がうまいはずなのですね(個人差はあるそうです)。

これは、日本人は和訳だけをすべきだという訳ではなく、先生は英訳も和訳も両方すべきだとおっしゃります。ただ、英語力向上のためには日本語のブラッシュアップが不可欠だということです。

セミナーでは具体的な英語と日本語のブラッシュアップ方法や調査のヒントなども触れられました。ちょうど2015年が始まる節目の時期ですので、先生が教えて下さった方法を2015年のスケジュール帳に落とし込んで、実践していこうと思っています(既に冠詞の勉強については書き込みました)。あとはやるだけなので、初心を忘れずに努力すると共に、自分の好き嫌いとは別に日本人である限り和訳は英訳よりできるはずだということがわかったので、どちらの仕事も受注できるようにオープンでありたいと思います。

KK様


今回のセミナー、事前課題もあったうえ、開始早々「あとで隣の方とペアワークをしてもらいます」という先生の発言に緊張はMAX。でも、時に冗談を交えつつ、優しい語り口ではあるけれどエネルギッシュな先生の講義は4時間という長丁場を感じさせないものでした。

言語学の観点からみた先生のアプローチ法はどれも難しいものではありません。言語を構造的に理解するための例として挙げてくださった日本語の「は」と「が」の用法、句読点の用法、基本動詞の使い方など、日頃何気なく使っていて実はよくわかっていない規則性を意識化していくことの大切さを実感しました。そして冠詞のトレーニングなど、自分の言語能力を高めていくための具体的な方法はすぐにでも実践できるものでした(ただしそれを継続していくことができるかどうかはもちろん個人の努力次第ですが)。

私自身は医薬翻訳に携わって10年以上経ち、さすがに仕事に対する緊張感も薄れてきた今日この頃。「長年の経験を生かして」といえば聞こえはいいですが、なんとなく感覚でやってしまっている部分も多く、あらゆることを意識化していくという作業を忘れていたように思います。

日頃ひきこもり生活ですし年末の忙しい時期ということもあって、正直今回のセミナー参加に躊躇する部分もあったのですが、とてもよい刺激になり、参加して本当に良かったと思いました。そして打ち上げはさらに楽しく、自称「人見知り」が多い翻訳者ですが、初対面の方とも意気投合し、おしゃれなレストランで居酒屋並みに盛り上がるテーブル席・・・今年を締めくくるのにふさわしい忘年会となりました。

YF様


「情景を言葉にする」、それが翻訳なのだとは思いませんでした。

例えば画面に映し出されたある状況。それを実況中継するがごとく言葉にしていく、それが翻訳なのだと先生は教えてくださったような気がします。まるで見たまま感じたままを言葉にするような、原語、日本語の枠を超えた実況中継。翻訳とは自分というフィルターを通して自分が得た情報を的確に読み手に伝えること、そういうことなのかもしれません。先生独特の「翻訳ワールド」に引き込みつつ、すぐに役立つ細かいテクニックも散りばめられた今回のセミナーは、すでに仕事を始めた自分にとって「翻訳とは何か」を再考させてくれるものであり、日々の訳出作業のあちらこちらで活かせるコツを教えてくれるものでもありました。

翻訳ワールドの楽しさを味わいつつ作業がスムーズに進む心地よさを感じながら翻訳することができるとしたら、先生がおっしゃった「人生とは遊ぶこと」を翻訳作業の中でさえも体現できるのではないかと思います。

「翻訳を楽しみたい」方に、先生の講座をぜひおすすめします。

TT様


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