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- 平野信輔氏セミナー「テクニカルライティングとエンタメライティング」
Posted by : Unknown
2016年2月21日日曜日
昨日はいつものミズトラの会で、工業英語の指導者として有名な公益社団法人日本工業英語協会 理事、平野信輔氏をお招きして
「テクニカルライティングと、エンタメライティング。そして、英語と日本語」
というセミナーを開催いたしました。ちょっと珍しい切り口のセミナー。最近は技術文書の翻訳を請け負うことが多く、エンタメ系の英語に触れることが比較的少なくなった私にとってとても新鮮な授業でした。一部を以下に紹介いたします。
★英訳
好きになってはいけないと思ったら、恋の始まり。
好きでいないといけないと思ったら、恋の終わり。
★和訳
One of the best feelings in the world is knowing your presence and absence both mean something to someone.
さて、あなたならどう訳します? 英訳はやっぱり時制が苦手です。今回も見事に引っかかりました。
翻訳は本当に難しい、そんな当たり前のことを時には忘れてしまって、仕事をこなしているうちになんとなくできている気持ちになってしまうのが怖いところです。セミナーのタイトルにあるように、たとえば英語と日本語。両者の言葉の使われている環境、宗教観、歴史、いろいろなものが1つ1つの単語の根底にあって、それを表現することは、ネイティブでない私には本来至難の業なのです。
たとえば、
「はんなり」という言葉を聞いたとき、京美人の上品で華やかな面影がふっと浮かびます。「じめじめ」という言葉を聞いたとき、梅雨辺り、肌に汗で下着がまとわりつくような感覚が浮かびます。そんなふうに経験と結びついた感覚と言葉とはフィットしています。それが言語の役割でしょうから。京都という場所を知らない人、砂漠に住んでいる人、そうした人々がこうした日本語を英語にするのはきっと難しいでしょう。
上記の格言のようなものは、汎用性がありつつも、人種の違いが感じられたりもして、翻訳の勉強になるなと今回教えられました。FACEBOOKには、このようなちょっといい言葉などが投稿されるサイトがいくつかあるそうです。先生から教えていただいたものをチェックして、表現を習っていくつもりです。
さて、私は和訳の方を板書する役になりました。言い訳ですけど、予習ができなかったのでぶっつけ本番です。女子高生(笑)になって訳してみました。
あたしがいるときも
あたしがいないときも
なんか違う・・・って思ってくれたら
むちゃ嬉しいの。
ちなみにこの訳はツッコミどころ満載です。でも、スタンダードに誰にでも共感できる言葉に訳すことも、同僚同士、親子と考えて訳すこともおそらく可能で、シチュエーションを想像しながら映像翻訳のように言葉遊びをするのも翻訳の楽しみなんですね。--「存在」と「不在」とが誰かにとって何らかの意味をなすと実感できること--、どちらの課題も深イイ言葉だと思います。
もちろん打ち上げもセットです。お魚もお酒も美味しゅうございました。